2015.5月 取材

イギリスが誇る画家ターナーの伝記的映画。
生誕240周年の今年、「ターナー 光に愛を求めて」6月公開です。

イギリスの画家J・M・W・ターナー(1775-1851)。「作品は観たことあるけど、ターナーってどんな人?」という方が多いかと思いますが、この映画はそんな疑問に巨匠マイク・リー監督が応えてくれる作品。12年の構想を経て映画化した作品です。
ターナーは、画家として既に若い頃からロイヤル・アカデミーで高い評価を受けていましたが、その私生活は気ままで奔放。
気が向くままにスケッチ旅行に出て、風景画を描いていきます。その独特の作風が他人から揶揄されたり「海ばかり描いている」と馬鹿にされたり、女王からさえも罵倒されますが、その作風を変えることはありません。

ターナーの作品の一部かと思って見ていたら、実は彼が描いた作品の実風景だった、 というような、絵画と風景が見事な一体化を見せているカメラワークも見どころです。
ターナーが乗り移ったようなティモシー・スポールの怪演が見事。
ロイヤル・アカデミーなどの展覧会では、オープニング前の数日間、会場で手直しが可能だったと言います。
その場でターナーは数々の即興的なパフォーマンスを繰り広げます。

この作品の大きな魅力の一つはターナーの作品がたくさん登場すること。《戦艦テレメール号》(ロンドン、ナショナル・ギャラリー所蔵)や《奴隷船》(ボストン美術館所蔵)、そして東京富士美術館所蔵の《へレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号》もこの作品の大事な場面で登場します。この作品は残念ながら常設展示で見ることはできませんが、ちょうどこの作品の公開時期に、徳島県立近代美術館で「東京都富士美術館所蔵『美の饗宴 西洋絵画の300年-バロック、ロココからエコール・ド・パリまで』展」(6月21日まで)で観ることができます。めったにないチャンスです。徳島まで行く機会のある方は是非この作品を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

《ディエップ港》(1826年頃、フリックコレクション蔵)を制作中のターナー。

生き生きとした筆致で風景画を描いたターナーの作品はモネたち印象派に大きな影響を与えたと言われています。
また、本人の遺言で国家に寄贈された膨大で貴重なコレクションは、現在でもナショナル・ギャラリーやテート・ブリテン美術館で圧倒的な人気を誇っています。
2015年アカデミー賞4部門にノミネートされた大作、いよいよ6月20日、東京を皮切りに公開です。

 

映画の詳細はこちらから↓
http://www.cetera.co.jp/turner/

 

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